ゴツゴラ(Centella asiatica)の期待される効能・使い方・成分

ゴツゴラの概要

ゴツコラ(ツボクサ)はアジア原産のセリ科の多年草で、伝統医学で古くから重用されてきたハーブです。その葉や茎は食用や薬用に利用され、アーユルヴェーダや中医学では「若返りの薬」として知られています。記憶力の向上や傷の治癒促進、ストレス緩和など多様な健康効果が期待されており、最近では美容や健康維持の観点からも注目されています。また、有効成分としてアシアチコシドやマデカッソシドなどのトリテルペン配糖体を含みます。

ゴツゴラ

ゴツゴラの期待される効果・効能

ゴツコラには抗酸化・抗炎症作用があり、記憶力や認知機能の改善、不安の軽減、創傷治癒の促進などが期待されています。動物や細胞を用いた研究で神経保護作用やコラーゲン産生促進作用が確認されており、静脈瘤など血行障害の改善にも利用されています。また、皮膚の炎症や瘢痕の修復を助け、免疫機能を調整する作用も報告されています。ただし、人での十分な有効性はまだ研究段階です。

About

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Efficacy

ゴツゴラの成分と摂取によって期待できる効能

ゴツゴラ
Centella asiatica (Asiatic pennywort, Gotu kola, Indian Pennywort, Kodavan, Marsh Pennywort, Spadeleaf) | North Carolina Extension Gardener Plant Toolboxby Wizan Zaini is licensed under CC-BY 2.0

ゴツコラは伝統的に「脳の強壮剤」として知られ、 記憶力や注意力 を高める効果や、 不安の軽減 につながる鎮静作用が期待されています[1]。実際、ゴツコラ抽出物は神経細胞を保護し認知機能低下を防ぐ 神経保護作用 (ニューロプロテクティブ)を示すことが報告されています[1]

また、ゴツコラに含まれる成分には 抗うつ抗不安(アンキオリティック)作用 があり、ストレス緩和や気分の安定に寄与する可能性が示唆されています[1]

さらに、ゴツコラは皮膚への効能でも知られています。 創傷の治癒促進 や皮膚疾患の改善効果が確認されており、古くから生傷の手当てに用いられてきました[1]。主要成分のアシアチコシドやマデカッソシドはコラーゲン生成を高めて皮膚組織の再生を促し、炎症を抑えることで傷跡(瘢痕)の形成を軽減します[1]。そのため、やけどや潰瘍、乾癬、硬皮症といった皮膚の損傷・疾患に対する外用治療に活用されています[1]

これら幅広い効能の背景には、ゴツコラの持つ強い 抗酸化作用抗炎症作用 があります[1]。ゴツコラのトリテルペン配糖体(サポニン類)は細胞の酸化ストレスや炎症反応を抑制し、それによって神経や皮膚、血管など様々な組織を保護すると考えられています[1]

こうした作用により、 血行改善 や血管の強化にもつながり、実際にゴツコラ抽出物が 静脈瘤 や足のむくみの症状改善に用いられる例も報告されています[2]

Habitat

ゴツコラの生息地域

ゴツコラは主に熱帯から亜熱帯の地域に自生しています。

原産地はインドや中国を含む 南アジア から 東南アジア 一帯で、湿地や水辺の環境を好む多年草です[3]。アジア以外でも、 アフリカオーストラリア の熱帯地域に広く分布し、さらに移入種として 南北アメリカの一部 や太平洋の島嶼地域にも定着しています[3]。日本国内でも暖かい地域(関東以西〜沖縄など)の湿った土壌で見られる野草で、古くから自生地が点在しています。現在では薬用や食用を目的に、マダガスカルやインドネシアなどで商業的な栽培も行われています[4]

Usage

ゴツコラの現在の利用方法

現代において、ゴツコラは ハーブサプリメント外用薬(塗り薬) として世界中で利用されています。特に欧米では、ゴツコラ抽出物を内服することで 静脈瘤(下肢静脈のうっ滞)や足のむくみ を改善する目的で用いる例があります[2]

フランスやイタリアではゴツコラ由来の医薬品(例えば「センテラシン」など)が慢性的な静脈不全の緩和に処方されることもあり、血行促進による脚の重だるさ軽減が報告されています。また、 皮膚の傷や炎症を治す軟膏 の成分としても利用され、ゴツコラエキス配合のクリームは 傷跡ケア乾癬・皮膚潰瘍の治療 を目的に伝統医療から現代医学まで幅広く使われています[2]

さらに、ゴツコラは近年「ブレインフード」としての側面にも注目が集まっています。欧米の市場では 記憶力や集中力を維持するサプリメント としてゴツコラを含む製品が市販されており、その名前(英名)から「ゴツコラ」の名でハーブティーやカプセルが健康食品売り場に並んでいます[5]

ストレス緩和やリラックス効果を謳うハーブブレンド茶にツボクサが配合されることもあり、リラクゼーション目的で日常的に摂取する人もいます。

美容分野でもゴツコラの利用が広がっています。 CICA(シカ) と呼ばれるツボクサエキスは韓国発のスキンケア成分として人気を集め、敏感肌向けの化粧水・クリームやシートマスクに配合されています[6]。ゴツコラ由来の成分(アシアチコシド等)が肌の鎮静や保湿、弾力アップに寄与するとされ、ニキビ跡のケアや エイジングケア 化粧品にも広く取り入れられています[6] [7]

このようにゴツコラはサプリメントからコスメまで、多方面で「癒やし」と「若返り」をもたらす素材として活用されています。

Appearance

ゴツコラの形状・特性

ゴツゴラの匍匐茎
Centella asiatica (Asiatic pennywort, Gotu kola, Indian Pennywort, Kodavan, Marsh Pennywort, Spadeleaf) | North Carolina Extension Gardener Plant Toolboxby Forest Star is licensed under CC-BY 2.0

ゴツコラはセリ科に属する 多年生の匍匐性草本 (ほふくせいそうほん)です。

地面を這うように細長い茎を伸ばし、各節からひげ根を下ろして増殖します。葉は 丸みを帯びた腎臓形(または扇形) で、径 2 ~ 4cm 程度の緑色の葉身を持ちます[4]

葉の縁には小さな鋸歯(ギザギザ)が並び、表面はなめらかで光沢があります。初夏から夏にかけて、葉の付け根付近からごく短い花茎を伸ばし、先端に 2 ~ 5 個ほどの小さな花を球状につけます[4]

ゴツゴラの花
Centella asiatica - Flickr - Kevin Thiele by Kevin Thiele(オーストラリア、パース), CC BY 2.0 https://creativecommons.org/licenses/by/2.0, via Wikimedia Commons

花は一見目立ちませんが、花弁は白色~淡紫色で、萼片の間に 2 枚の緑色の苞が舟形に付いています。受粉後にできる果実は扁平な円形で径 3mm ほどの小果です。

全草に特有の強い香りや刺激はなく、柔らかな ハーブ香 を持つのが特徴です。

葉や茎は生のまま食用に供されたり乾燥させてハーブティーに利用されるため、クセのない風味も好まれます。

見た目は地面を覆うグランドカバー植物のようで、日本では道端や庭先にも自生する 雑草 として見かけることがあります。

Historical Use

ゴツコラの歴史的な利用法

ゴツコラはアジア各地の伝統医療において、 長い歴史を持つ薬草 です。

インドのアーユルヴェーダでは、少なくとも紀元前 1000 年頃の古典医典『スシュルタ・サンヒター』にゴツコラ(現地名: マンドゥーカパルニー)が登場します。このハーブは「メーディヤ・ラサーヤナ」と呼ばれる 若返りの妙薬 として位置づけられ、記憶力を高め老化を遅らせる強壮薬として重用されてきました[5]。実際、アーユルヴェーダ医学ではゴツコラは ブラフミ (神の智慧の意)という別名でも呼ばれ、 ハンセン病(らい病) など難治性の皮膚潰瘍の治療や、高齢者の精神機能を維持する健脳薬として処方されてきた記録があります[4]

一方、中国や東南アジアでも古くからゴツコラは民間薬として広く知られていました。

中国名では 積雪草 (せきせつそう)といい、清熱作用を期待して 解熱剤利尿剤止血剤 として用いられたとされます[4]。例えば発熱時の凉茶(涼茶)に配合して熱を冷まし、炎症を抑える民間療法が行われていました。

また東南アジアでは食用としての利用も盛んで、スリランカではゴツコラの葉をすり潰してココナッツミルクと混ぜた 伝統粥(コラカンダ) が滋養強壮食として親しまれてきました[8]。タイやベトナムでも生葉をサラダやスープに入れたり、ジュース( ラオムア )として飲用する習慣が古くからあります。これらの国々では「日常的な野菜兼薬草」として、ゴツコラが人々の生活に根付いていたのです。

ヨーロッパでは 20 世紀前半から本格的に研究が進みました。特にフランスとマダガスカルでは、ゴツコラに含まれる成分「アシアチコシド(asiaticoside)」の抽出と薬理研究が進められました。1937 年にはこの成分を用いた臨床研究が開始され、1944 年にはビタミン E との構造的な類似性が指摘されるなど、活発な化学解析が行われました[9]

Folklore

ゴツコラの民俗的な利用法

ゴツコラには各地で興味深い 伝説俗信 が伝わっています。古来、中国ではゴツコラは「 不老長寿の妙薬 」と信じられ、これを常用することで驚くほど長生きできると語り継がれてきました[6]。実際、中国の古い伝承の中には、ゴツコラを毎日食べ続けて 200 年以上の寿命 を保った仙人がいたという物語さえ存在します。(※この伝説はゴツコラが「生命の霊薬」と呼ばれる由来ともなっています。)また、ゴツコラは 「タイガーハーブ」 (虎の草)**という異名も持ちます。これは「負傷した虎がゴツコラの茂みに身を横たえて傷を癒やすのを人々が目撃した」という逸話によるものです[6]

スリランカでは、象が好んでゴツコラを食べる様子から「 象の記憶力はこのハーブのおかげ 」とする俗説も生まれました[10]。こうした民間伝承は科学的根拠こそありませんが、ゴツコラが古くから人々にとって神秘的な力を持つ薬草と考えられてきた証拠といえるでしょう。

一方で、各地域の民俗利用も生活に密着しています。先述のようにスリランカでは朝の滋養食としてゴツコラ粥を食べる習慣があり、「これを食べると一日中頭が冴える」と言われます。タイでも市場で束ねた生のツボクサが売られており、屋台で 解毒作用 を期待した青汁ドリンクにして提供されています。これらの民俗的利用法は現代の健康志向とも合致し、ゴツコラの伝統知識が再評価されるきっかけとなっています。

References

ゴツコラの参考文献

Compounds

ゴツゴラ (Centella asiatica)の主要含有成分

成分名特性
アシアチコシドツボクサ由来のサポニン。コラーゲン産生促進や抗炎症作用が知られている。
マデカッソシドツボクサの有効成分。抗炎症・創傷治癒などの皮膚トラブルに利用。
アシアチン酸ツボクサに含まれるトリテルペン。創傷治癒や皮膚再生の促進に関与するとされる。
マデカシン酸マデカソシドの代謝物。皮膚修復やコラーゲン促進に寄与するとされる。
Tags

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Other Herbs